5.各学年の授業実践・地域活動
(3)3年生
(356)3年生と理科学習 その1
「あれあれ? 校長先生がいるね。何かやっているようですね。」
「3年生の理科の授業のようですよ。」
「黒板には,たくさんの紙がはってあるね。」
「どんな授業だったのかな。」
「みんなで虫の当てっこをしたんです。」
「校長先生がかかれた絵を見て,どんな虫かを当てたんです。」
「校長先生が,『みんなよく知ってるね。えらいね。すごいね。感心だね。すばらしい。』と,たくさんほめてくれました。」
「虫の当てっこをした後に,虫のグループ分けもしたんです。」
「校長先生から,虫はたくさんの種類があって,名前を知るのはたいへんだけど,大切なことは,どんなグループかを知ることだよ,というお話がありました。」
「教室で楽しくお勉強した後は,あみとか持って,うら庭に行って虫をゲットしたんです。」
「いろいろな虫がいたね。」
「たくさんいたね。」
「チョウも,飛んでいたね。」
「ひらひらと,飛んでたね。」
「バッタも見つけたよ。」
「ぼくは,2匹もゲットしたよ。」
「いいな。わたしはゲットできなくて残念でした。」
「またみんなで行くから,今度はかならずゲットできるからだいじょうぶだよ。ドンマイさ。」
「気持ち悪い幼虫がうじょうじょいたね。」
「ガの幼虫だと教えてもらったね。」
「カマキリもつかまえたね。」
「クモは虫ではないけど,ジョロウグモというクモがいたね。よく見るととてもきれいなクモだったね。」
「ほかにも,みんなでいろいろとゲットしたね。」
「ハサミムシ,ダンゴムシ,アリ,ハチ,トカゲ,ムカデ,キチョウ,シジミチョウ,モンシロチョウもいたね。」
「国立七小は,いろいろな虫を学校で見ることができて,いい学校だな。」
「これからも,みんなでたくさん見つけよう。」
「ぼくは,校長先生がくれた『おみやげ』のプリントでたくさん勉強するぞ。」
昆虫少年という絶滅危惧種
網を持ち野山を駆け巡る昆虫少年が消えた。昆虫採集する子供がいなくなった。たまに昆虫標本を夏休みの自由研究でやってもあんまり評価されなかった。その一方,日本の自然がどんどんと破壊され消えていった。人が自然から離れてしまったために,本物の自然が壊されていることに気付かない事態となってきた。カやヘビに心配することなく,きれいな場所で大勢の人の中で放たれたホタルを見て自然を満喫したと思ったり,植林されたスギ・ヒノキの林を見て,雄大な自然が残っていると勘違いしたりしている。こんな悲しい状況であるが,この現状を憂える人々が少しずつ動きだしている。「自然に関心を持たせる方法として,昆虫採集は,優れた方法の一つだ」と日本昆虫協会が設立されたのは,1991年である。手入れの行き届いたきれいな公園ではなく,自然の空間という意味でのビオトープ作りなどもあちこちで試みられている。著名人の随筆に「子供の頃,昆虫採集に夢中になった経験は大変貴重だった。」というものをよく目にする。昆虫採集は,科学の出発点になるだけでなく,自然に触れて自然の中で考えることで,人間形成の上でも大変重要な役割を果たしているのである。昆虫少年が絶滅危惧種にならないでほしい。