2.植物の世界
(9)わあ、楽しい! 草花あそびの世界
(355)ツクバネの実で遊ぼう!
「花ちゃん,オー君,そして,国立第七小学校のみんなに,モンタ博士からおみやげがあるよ。」
「おみやげ? うれしいな。何だろう。」
「食べられるものだといいな。モンタ博士。どこに行ったの。」
「おとといの土曜日に,陣馬山という山に行ったのさ。とちゅうで大雨がふってきたから,頂上までは行かなかったけど,おみやげだよ。ハイ! どうぞ。」
「何だ,こりゃ?」
「枝の先に実のようなものがついていますね。」
「何かの形に似ているよ。見たことあるような気がするな。」
「あ! 分かった。羽子板でつくはねに似ているわ。」
「さすがは花ちゃん。よく名前を知っているね。」
「え! わたし何か言いましたか。」
「この木の名前は,『ツクバネ』で大正解だよ。」
「羽子板のつくハネにそっくりなので,この名前がついたんですね。」
「へえー。なるほど。よく分かりました。」
「ところで,本当に,羽子板のハネのように飛ぶのかな。」
「自分でやってためしてごらん。」
「どうやればいいのですか。」
「そんなの簡単だよ。下の絵のようにお空に向かって投げてごらん。」
「エイ! ほらっ!」
「エイ! ほらっ!」
「うわー。くるくる回って落ちるよ。ヘリコプターみたいですね。」
「これは,とってもおもしろいですね。竹トンボみたいですね。」
「何回も何回もやって楽しもう。」
「うれしいな。楽しいな。ぼくは,この『ツクバネ』の実がほしくなりました。」
「そうね。ほしいね。1つもらえないかな。だめかな。」
「はじめにも言ったけど,この『ツクバネ』の実は,花ちゃん,オー君,そして,国立第七小学校のみんなへのおみやげとして,持ってきてあげたんだ。」
「うわー! うれしい。ありがとうございます。モンタ博士!」
「うれしいな。友達といっしょに遊ぶぞ。」
「みんなで仲良く遊んで楽しんでください。」
ツクバネのつぶやき
私は,ビャクダン科というちょっと変わった科の落葉低木で,高さは1~2mくらいね。関東地方から西の地方に分布しているのよ。どこにでもあるというのではなく,やや個体数は少ない植物といえるかな。私を見つけてくれるなんて,さすがはモンタ博士。あんたはエライ! 枝には,3~5cmくらいの葉が対生してついているのよ。花は5月頃に咲くけど,あまり目立たずきれいとは言えないわ。私の特徴というのは,名前にもあるように,枝先につけるちょっと変わった形の実ですね。羽子板のハネに似ているので,ツクバネという名前になったのよ。羽子板が初めではなくて,私がもちろん先よ。私が秋風に吹かれてくるくる回っている姿を見て,羽子板のハネを作ったのよ。どっちが先でもいいけど,昔から子供たちにたくさん遊んでもらっているのよ。私がくるくる回る姿を見て,子供たちが喜んでくれるのは,とっても嬉しいわ。え! 私を育てたい! おうちに植えたい! うーん。むずかしいわね。それはなぜかというと,私は半寄生植物といって,スギ・モミ・ツガなどの針葉樹の根に私の根が寄生するのよ。それに,私はオスの木とメスの木があって,メスでないと実がつかないのよ。以上。私のつぶやきでした。