1.身近な自然の観察
(7)気象現象
(352)ポテトチップスと気圧の話
「フッタ博士! この前はウインナーソーセージのお話ありがとうございました。」
「また,何かおもしろいお話を聞かせてくれるんですか。」
「もちろんだよ。みんなのまわりには,はてな? なぜかな? どうしてかな? という,おどろきや不思議な世界がいっぱいあるんだよ。」
「それでは,フッタ博士! 『フッタワールド』のお話をどうぞお願いします。」
「それでは,これも5年生の八ヶ岳野外体験教室でのお話だけど,ポテトチップスとペットボトルのお話をしよう。」
「え! ポテトチップスとペットボトル?」
「ポテトチップスを食べながら,ペットボトルのお茶を飲むというお話かな。」
「ちがうんだよ。『気圧』のお話なんだよ。」
「何ですか。その『気圧』というのは?」
「まず,みんなの頭の上には,目には見えない空気の柱が載っかっているということなんだよ。」
「それとポテトチップスとは,どういう関係なの。」
「ポテトチップスの袋もこの気圧に押されているんだ。袋の中にも気体があって,気圧に対して押し返すから,いつも見るような大きさになるんだよ。」
「それで,それで・・・。」
「それで,このふつうのポテトチップスの袋を5年生のみんなが登った長野県の飯盛山(1643m)に持って行くよ。」
「そんなの無理ですよ。ここは国立ですよ。」
「それができるんだ。フッタ博士が『ワープ!』とさけぶと移動できるんだ。
ということで,フッタ博士が『ワープ!』とさけびました・・・すると。
「あ! さっきまでのポテトチップスとちがうぞ。」
「袋が太りました。不思議です。」
「フッタ博士! これはどうしてですか。」
「飯盛山みたいな山では,それだけ標高が高くなっているということは,頭の上に載っている空気の集まりがそれだけ少なくて,気圧が低いということなんだ。スナック菓子の袋は,地上で持って行った時と比べて,袋の中の気圧は変わっていないんだ。それで,袋の外の気圧に比べて,袋の中の気圧の方が高くなる。したがって,袋の内外の気圧差で袋がふくらむということなんだよ。」
「なるほど,フッタ博士。よく分かりました。つまり,ポテトチップの中の空気が関係しているのですね。」
「まあ,そういうことになるけどね。本当は,袋には空気は入っていないのさ。」
「え! それって,どういうことですか。」
「食べ物は,空気にふれると味や匂いや色が変わってしまうことがあるんだ。これをむずかしい言葉で酸化というけど,袋に空気を入れてしまうと,ポテトチップスの油が酸化して味や匂いが変わってしまうので,本当は,『窒素』を入れているのさ。また,味や匂いを守り,おいしさを保つためだけでなく,窒素で袋をふくらませることで,こわれやすいポテトチップスを守っているということなんだ。」
「ふーん。そうなんだ。よく分かりました。」
「ところで,ペットボトルのお話は?」
「あ! ごめん,ごめん。そのお話はまた今度ね!」
「フッタ博士! また楽しみにしています。」