2.植物の世界
(7)菌類のなかま
(313)シイタケ物語 その2
「あ! これはシイタケだ。」
「そうですね。学校の裏に今たくさんのシイタケができていますね。」
「シイタケはうまいよね。焼いておしょうゆをつけるといいんだ。」
「食べたりするのもいいけど,今日は,シイタケを科学しよう。」
「シイタケを科学する? なんだかおもしろそうですね。」
「ところで,花ちゃん・オー君。シイタケは植物かな? 動物かな?」
「動物ではないみたいだから,植物ということかな。」
「植物なら種とかあるでしょ。シイタケの種って聞いたことないわ。」
「シイタケはキノコで,おもちに生えたり,お風呂場に黒くこびりつくカビと同じ仲間なんだ。菌糸で増えるカビやキノコをまとめて菌類というのさ。」
「植物でもなく,動物でもなく,なんだか中途半端なものなんですね。」
「でもね,その中途半端なキノコだが,生態系といっていろいろな生き物が自然の中で生活していくうえでとても大切な存在なんだよ。」
「もう少し分かりやすく教えてください。」
「まず,シイタケは切り倒した木から生えるキノコだけど,シイタケは枯れ木の中に菌糸というものを張り巡らせて,木を分解しながら栄養分をとっているんだよ。」
「シイタケに栄養分をとられた木はどうなるのですか。」
「そのうちにどんどん朽ちて(腐って)しまうわけなんだ。つまり,シイタケばかりではなく,多くのキノコは,木や落ち葉に菌糸を張り巡らせて生きているんだ。」
「枯れてしまって,その後はどうなってしまうのですか。」
「枯れてしまうということは,分解されるということで,そのうち土になって林や森を育てていくというわけさ。」
「へえー。キノコって,けっこう役立っている生き物なんですね。」
「そうだね。林や森の栄養分というのは,キノコのはたらきによってうまく循環(ひとまわりして,元にもどり,それをくり返すということ)して保たれるということなんだ。」
「中途半端のようなキノコでも,自然界ではとても大切な存在なんですね。」
「そうだね。自然界にはむだなもの,いらないものなんてないのさ。それぞれがみんな,それなりの理由があって生きているんだね。」
「ところで,さっきキノコには種なんかないと言ったけど,どうやって増えるのかな。」
「なるほど,さすがオー君。おもしろいところに気がついたね。花ちゃんもオー君も,キノコの種? みたいなものを見てみたいかな?」
「見たいです。知りたいです。」
「それでは,キノコの種?のお話をまた今度にしてあげよう! けっこう簡単に見ることができるし,自分でも作れる? というかできるんだよ。」
「自分でも作って見ることができる? どういうことですか。」
シイタケはどうして『だし』に取るのに使うのか?
昔から,だしを取るには,動物性のだしと植物性のだしを組み合わせると,相乗効果によってよりおいしくなると言われています。動物性の旨味成分はイノシン酸,植物性の旨味成分はグルタミン酸です。例えば,動物性の鰹節と植物性の昆布とは相性がとてもよいので,合わせておいしいだしが取れるそうです。ところで,シイタケもだしを取るのによく使われます。シイタケの旨味成分は,グアニル酸であり,それがイノシン酸やグルタミン酸とどのような相性を示すのでしょうか。ともかく,おいしいだしでおいしいご飯を食べたいものです。