3.動物の世界
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫なかま
(311)雪虫(しろっこ)
「最近フワフワ飛んでいる白い虫を見かけるけど何かしら?」
「あぁ,おしりが白い綿毛みたいになっている虫だね。『雪虫』って言うんだよ。」
「うちの方では『しろっこ』と呼ぶんです。井上靖さんの小説の題名『しろばんば』は,伊豆地方の雪虫の呼び方だそうだよ。」
「はい,みなさん。それはアブラムシの一種,正式には『リンゴワタムシ』などの成虫です。白いのは体から出た蝋(ワックス)。秋の終わりに雪のように舞い飛び,地方によっては“この虫が飛ぶと初雪が降る”ので,『雪虫』と呼ばれるようになったみたいだよ。」
「アブラムシ!? ゴキブリの仲間なんですか?」
「いやいや,そっちの油虫じゃなくて,アリマキ(蟻牧)のこと。植物の汁を吸うカメムシやセミの親戚だよ。」
「季節の目安として,雪虫を初めて見た日を毎年記録していくのもいいね。こうしたデータを残していくのはとても大切なことなんだ。この虫のライフサイクルは変わっているから,調べてみるとおもしろいね。北国ではトドノネオオワタムシが大発生して吹雪みたいになることもあるらしいよ。」【図】
「実は意外なことに,歌謡曲になっているんだよ。」【検索結果を見せながら】
「うわ~,ほんとうに何曲もあるんだ! ビックリ!」
「えっ! Kinki kidsのお二人も『ユキムシ』歌っているわ!」
「谷山浩子さん『雪虫Whisper』,お相撲の増位山太志郎さん『雪虫』,キム・ヨンジャさん『北の雪虫』,まだあるけど,どちらかというと演歌系が多いみたいだね。 “ゆきむし” で曲名検索してこれだけあるから,歌詞に登場する曲はもっとあるだろうね。」
「弱々しいイメージの虫で,冬の訪れを予感させるから歌になりやすいのかも知れないね。私のオススメは佐々木好さんの『雪虫』です。服に当たったくらいで死ぬことはないと思うけど。」【みんなでラジカセを聴く】
「う~ん,弱そうな虫と冬のイメージは伝わるけど,なんか暗い感じでぼくはちょっと・・・。10月8日にもう飛ぶのかな?」
「佐々木好さんは『北海道札幌市出身のシンガーソングライター,・・・現在は活動していないが根強い人気で隠れファンが多く,その人たちの青春の思い出の曲となっている。』(ウィキペディア)ですってよ。フッタ博士。」