1.身近な自然の観察
(6)天文現象・暦
(295)七夕と暦
「モンタ博士! きのう,大切なことを言い忘れていたと言いましたが,どんなことなのですか。」
「そうです。わたしも気になっていました。」
「昔の暦のこととか言ってましたね。」
「そのとおり。暦というものには,昔の暦と今の暦があるんだよ。例えば,お正月など,まだ冬なのに『春』という言葉を使ったりするだろう。」
「そうですね。年賀状とか,あちこち目にしますね。」
「それから,3月3日は,桃の節句だけど,まだ寒くて『桃』の花なんて咲いてないよね。これって,おかしいと思わないかい。」
「そういえば,そうですね。でも,それと7月7日の七夕とどういう関係があるのですか。」
「つまり,昔の暦と今の暦では,ちがいがあるということで,ほんとうの七夕は,7月7日ではないんだ。七夕はもともと昔の暦,これを『旧暦』というけど,1か月くらいずれていて,本当は8月なんだ。『旧暦』に対して,今使われている暦を『新暦』ともいうけど,梅雨空で星に願い事ができなくても大丈夫。まだチャンスはあるということさ。」
「何だかむずかしくなってきたな。もう少し分かりやすく教えてください。」
「まず,昔の暦というのは,明治5年まで使われていた『太陰太陽暦』のこと。今の暦は,太陽の動きをもとに決められているけど,この『太陰太陽暦』は,主に月の動きで決められていたんだよ。」
「それでは,ほんとうの七夕はいつなんですか。」
「それはいい質問だね。今年,つまり2017年の旧暦の七夕はいつかというと・・・,それは,8月28日です。正確な数え方を説明するのは長くなってしまってむずかしいからやめておくけど,今年の七夕は,お盆をずっと過ぎて夏休みも終わりの8月28日ということなんだ。」
「へえー。そうなんだ。毎年,8月28日が七夕ということですか。」
「ところがどっこい,そうではないんだ。毎年ちがうんだ。」
「え! 毎年,ほんとうの七夕はちがう日なんですか。」
「そのとおり。下にこれから数年のほんとうの七夕の日をまとめておこう。」
昔は1年は13か月の時もあったのは,なぜ?
日本の旧暦は太陰太陽暦。太陰太陽暦とは,太陰暦をベースにして太陽暦の要素を取り入れたもの。太陰暦は,月の満ち欠けに合わせて,暦月の1か月を約29.53日として,1年を約354.367日としています。季節の移り変わりは太陽の周期によるので1年約365.242日のため,太陰暦をそのまま使うと,1年につき約11日,3年で約33日(約1か月分),暦と季節がずれてしまいます。そこで,考えたのが,3年に約1回,19年に7回,閏月を入れることで,暦と季節のずれを調整したものが太陰太陽暦です。2月は普通28日までですが,4年に1回は2月を1日増やして29日までとするのによく似ています。