2.植物の世界
(3) 被子植物(双子葉類)のなかま
(271)ダイコンの花
「もう春ですね。気持ちいいですね。」
「そうだね。こんな時には,校庭をてくてくしようか。」
「校庭には,サクラの花が満開だし,それから,ナノハナ,サクラソウ,チューリップ,ネモフィラなど,いろいろなお花が咲いているわ。みんなで探しに行きましょう。」
「そうしよう。そうしよう。」
「あれあれ? あそこに何かあるわ? 見に行ってみましょう。」
「そうしよう。そうしよう。」
ということで,てくてくして,その花を見てみると・・・。
「あれあれ? 白いダイコンがつきささっているわ。」
「ということは,この花はダイコンの花ということだ。」
「わたしもいろいろな花が好きだけど,ダイコンの花というのは初めて見るわ。」
「ダイコンといえば,ダイコンおろしとか,ダイコンのおでんとか,ダイコンのお味噌汁とか,食べることしか考えていなかったけど,こうしてみると,ダイコンの花ってなかなかいいね。あ! 発見したよ。ダイコンは4枚の花びらがあるんだ。」
「花びらの色は真っ白で,とてもきれいな感じですね。」
「でも,どうしてダイコンが鉢の中に植えてあるんだろう。これは,国立七小のミステリーかもしれないぞ。そうだ!モンタ博士に聞いてみよう。」
「なぜ,ダイコンが鉢に植えてあるのですか。」
「答えはミステリーでも何でもないよ。このダイコンは冬の間にモンタ博士が学校近くの八百屋さんで買ってきて,さして置いたものなんだ。ダイコンの花なんて初めてだろう。よーく見て,いろいろと観察したり,発見したり,みんなで楽しもう。」
ダイコンのつぶやき
私はダイコンです。大きな根と書いて大根ですが,白く大きく太っているのは根だけではなく,胚軸という部分もあるんです。貝割れ大根はダイコンの芽生えであり,双葉のすぐ下にある茎は胚軸と呼ばれています。ダイコンをよく見ると,根の生えているところやその痕跡があるのが根であり,上の方は真っ白でつるんとなっていますが,これを胚軸と呼ぶんです。植物は根・茎・葉からできているというのは常識ですが,ダイコンの場合の茎は,葉の付け根にある短い部分だけなんです。
ダイコンの花は,白いナノハナのように見えますが,それはダイコンもアブラナ科の植物,野菜だからです。ダイコンの学名は,Raphanus sativus(ラファヌス・サティバス)で,サティバスとは,栽培するという意味です。ダイコンの栽培の歴史は古く,原産地は地中海沿岸なんです。古代エジプトでは,薬草として栽培されていたという記録もあります。大根は根も深いが,奥も深そうでしょ。