2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(230)マンサクの花っておもしろい!
「あたたかくなったり・・・。」
「寒くなったり・・・,いそがしいね。」
「こういうのを三寒四温というんだよ。」
「一週間のうち,三日寒くて,四日あたたかいということですね。」
「啓蟄も終わって,いよいよ春になるんですね。」
「てくてくの楽しい季節になりますね。」
「ところで,上の花は何ていうのかな。」
「黄色い花びらが,黄色いリボンや紙テープのようですね。」
「これはね,マンサクというお花なんだよ。」
「え! これが,マンサクというお花ですか。わたし,名前だけは聞いたことはあるんです。」
「モンタ博士のおうちの近くにね,高尾山ほど有名ではないけど,今熊山という低い山があるんだ。そこには,たくさんのマンサクがあってね,毎年見に行くんだよ。」
「え! モンタ博士,また一人で行っちゃって,ずるいよ。おいらも行きたかったな。」
「ごめん,ごめん。また今度つれてってあげるよ。」
「マンサクのお花・・・,見たかったなあ。」
「マンサクなんて,おもしろい名前だなー。」
「いろいろいわれているけどね。山の木がまだかたい冬芽をもっているのに,春一番に早くさく木の花で,『まずさく』という言葉からきているらしいよ。」
「何だよ,だじゃれみたいだ。」
「黄色の花びらは4枚で,ほんとうにリボンみたいな花びらでかわいいのよ。」
「あざやかできれいな黄色の花か。おいら気に入った。見てみたいなー。」
「それから,とてもきれいにさくので,満開(花が最高にさくこと)のようすを秋の田んぼの豊年満作(ゆたかに実ること)にたとえて,それで,満作ともいわれているんだよ。」
「おいら,今熊山に登って,マンサクを見に行きたくなっちゃった。」
「今熊山という山はマンサクがとても多い山なんだ。他にもみんなのおうちの近くの山に登ってごらん。きっと,マンサクの花もさいているよ。」
今熊山(いまくまさん)
高尾山・陣場山に比べると,それほど有名な山ではないが,武州今熊山といわれ,山麓と頂上に神社があり,山岳信仰として歴史の古い山である。南ルートはスギやヒノキなどの植林地が多く,北ルートは山麓から落葉広葉樹林が広がっており,樹種も多様性に富んでいる。マンサクが多く見られるのは北ルート。途中に金剛の滝に下りる道があり,滝周辺は夏などに涼を楽しめる。また,近くにはあきる野市の名刹広徳寺もあり,秋には大きなイチョウが色づきみごと。山麓周辺は江戸時代からの経済林としてのコナラ・クヌギ林が広がっている。頂上付近は神社の聖地にふさわしく,照葉樹林が見られ,幹回り50cmを超えるツクバネガシなどが林立している。最近,頂上付近の木を伐採し,見晴らしもよくなり,遠く新宿の高層ビルやスカイツリーも眼下に見下ろせる。春・秋などハイキングとしては手ごろな山である。標高は505メートル。