1.身近な自然の観察
(3)季節と生物
(206)春の雑木林をてくてく・・・春を待つ生き物
「おーさむさむだ。寒いなー。」
「何を言ってるの。子どもは風の子でしょ。」
「そんなこと言っても,寒いよなー。やっぱり・・・。♪オー君はこたつで丸くなる♪という歌もあるでしょ。」
「何を言ってるの。『オー君』ではなくて『ねこ』でしょ。子どもは元気にお外に飛び出さなきゃ。」
「飛び出すと言っても,まだ冬だし,虫たちもねむったままだよ。どこに行ってもおもしろくないぜ。」
「そんなことないわよ。それじゃ,今から学校のうら山や近くの雑木林をてくてくしましょ。」
「雑木林・・・。暗くて寒いんじゃないの。やっぱりおいら,こたつで・・・。」
「だめだめ! 今,雑木林はね,木々の葉がすっかりと落ちて,それはそれはステキなのよ。」
「何がステキなのさ。」
「今ね,雑木林の中は,さんさんと太陽の光がふりそそいでいるのよ。」
「今,寒くて暗くないの。」
「まったくぎゃくで,明るくてあたたかいのよ。冬のてくてくには最高の所よ。きのうの日曜日におうちの近くの雑木林を歩いたのね。写真は,その時のものよ。林に光がさしこんで,とてもステキだったわ。」
「そうか・・・。そう言えば,この前も,野鳥の会の人が,鳥はもう動き始めていると言っていたな。鳥たちは,春が近くなって日がのびて,日差しの明るさを感じて動き始めた・・・と言っていたなー。『光の春』という言葉も教えてもらったなー。」
「そうなのよ。枯れ葉色の大地から,春を待つ植物や虫たちは,少しずつ準備を始めているのよ。」
「そうだね。ヤマアカガエルやトウキョウサンショウウオなども,たまごをうみ始めたらしいもんな。」
「そうでしょ。ウメの花のかおりをかぎながら,いっしょにてくてくしましょうよ。」
「そうだね。春を待つ生き物たちがけんめいに生きているすがたを見ることはすばらしいことだもんな。」
「そうでしょ。そういうすばらしい自然のいろいろなすがたがたくさん見られるわ。」
「そうだ。春さがしだ! 行こう! 行こう!」
「学校うらの谷戸のカエルのたまごはどうなったかしら?」
「カエルだけじゃなくて,いろいろな春をさがしに行こう!」
冬の雑木林散歩
明るく静かな冬の雑木林を歩くと,今まで気づかなかった木々の幹の様子や冬芽の違いなどが目に飛び込んできます。そっと手で触れてみると,幹の模様の違いだけでなく,表面のざらざら感やごつごつ感など,さまざまな特徴に新たな発見の喜びがあります。また,落葉樹と常緑樹の違いなど,楽しみ方はいくらでもあるようです。ぜひ一度,冬の雑木林をてくてくしてみませんか。