2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(4)被子植物(単子葉類)のなかま
(188)実がぱっくり開いて・・・アケビ!
「あれあれ? でっけえウインナーだな?」
「ちがうでしょ。オー君,よく見て。」
「そういえば,ウインナーにしては,太すぎるなあ・・・。」
「え! どうしたの。何だ,こりゃ? 見たことないな・・・。」
「わたしにも見せて! え! 何これ?」
「先生たちも知らないんですか。こまっちゃうな。」
「と言われても,見たことないもんな・・・。」
「そうか,そうなのか・・・。無理ないかもね。でも,これは,デパートなんかだと,一つ200円とか300円するんだよ。」
「200円! 300円! そんなに高いの? どこで手に入れたの。」
「あるお友達のおうちにいっぱいあるそうでね,わざわざ学校まで持ってきてくれたんだよ。
昔の子どもは山に入って採っては,おやつにしたそうだよ。」
「おやつ? それじゃ,食べられるんですか。」
「そうよ。つぶつぶが多いけど,とってもあまいのよ。」
「それでは,いただきまーす。もぐもぐ・・・,こりゃ,あまいね・・・。でも・・・。」
「ぼくも・・・もぐもぐ・・・,あまいけど・・・,種ばっかりだ。」
「種はプイッと,はき出していいんだよ。」
「もぐもぐ,ところで,これは何ていうんですか。」
「実をよく見てごらん。ぱっくりと開いているだろう。だから・・・。」
「分かった! アケビだ。アケビって,これだったのか。なーるほど。」
「生き物の名前というのは,その物のようすや形,特徴からつけられたものが多いんだね。」
「そうだ! カブトムシは,頭の形がカブトだし,クワガタは,クワの形をしているもんな。」
「そうですね。ゆれてさくから『ユリ』でしょ,カエルの手みたいだから,『カエデ』でしょ,大きな根だから,『ダイコン』でしょ,ねじれてさくから『ネジバナ』でしょ・・・,いっぱいいっぱいあるわ。」
「たけえなーと思うから『タケ』だろ,もーみごとな木だから『モミ』だろ,ほおーと思うから『ほおのき』か・・・。」
「う・・・,ちょっとちがうような感じもするけど・・・。まあ,いいか。」
「ともかくも,生き物と名前って,けっこうおもしろい関係にあるんだね。さあ,それでは,アケビをみんなで食べようか。」
アケビのつぶやき
ハーイ! 私はアケビです。つるになる植物で,『ジャックと豆の木』みたいに,つるであちこちの木にからんで,どこまでもどこまでも伸びていきます。私のつるはとても丈夫で,特にミツバアケビのつるはアケビ細工などでも使われます。アケビは春4月~5月に,うすいむらさき色の花を咲かせます。花にはおいしい蜜がまったくないので,昆虫たちは花粉を目当てに集まります。では,花粉がない雌花はどうするのでしょう。雌花は雄花そっくりの形をとり,おまけに大きさも倍くらいにして,長い柄をつけて前面に出て目立つように工夫しています。昆虫たちは,りっぱな雄花と間違えて「こりゃ,ラッキー!」と思うのでしょう。要するに,これがアケビの花のだましのテクニックなのでしょう。そして,長い進化の過程でアケビが獲得してきた「生き残り戦略」の一つなのでしょう。