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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
2.植物しょくぶつ世界せかい
 (4)被子植物ひししょくぶつ単子葉類たんしようるい)のなかま
(122)グロテスク? いやいや,マムシにそっくり,マムシグサ
花ちゃん
「ねえねえ,()()て! オー(くん)。かわったお(はな)でしょ。」

オーくん
「ぎょ! なんだ,こりゃ? これ,お(はな)なの?」

花ちゃん
「そうよ,お(はな)なんですよ。ちょっとかわった(かたち)をしているけどね。」

オーくん
「おいら,はじめて()たぜ。」

花ちゃん
「そんなことないわよ。(はる)雑木(ぞうき)(ばやし)(はい)れば,あちこちでいているわよ。」

オーくん
「それにしても,へんなお(はな)だな。なんだかヘビが(あたま)()げた(かん)じだよ。」

「さすがはオー(くん)。よいところに()がついたね。ところで,二人(ふたり)は,どんなヘビを()っているかな。」
モンタ博士

オーくん
「えーっと,ヤマカガシ,アオダイショウ。それから,シマヘビなんていうのもよく()るヘビだね。」

花ちゃん
「それと,もう(いっ)種類(しゅるい)いるでしょ。(どく)()っているヘビよ。」

オーくん
(どく)のあるヘビ? ・・・あ! ()かった。ハブだ!」

花ちゃん
「おしい! もう(すこ)しよ。まだいるでしょ。モンタ博士(はかせ)(きょ)(ねん)つかまえたって()ってたでしょ。」

オーくん
「あ! ()かった。マムシだ。」

花ちゃん
「そうです,そのとおり! このお(はな)名前(なまえ)はね,マムシグサというのよ。」

オーくん
「え! マムシグサ? ヘビの名前(なまえ)がそのまま植物(しょくぶつ)の名前になっているの?」

花ちゃん
「そうなのよ。ね! モンタ博士(はかせ)。」

(はな)のようなものが,ヘビの(あたま)みたいだろう。それに,(くき)()てごらん。」
モンタ博士

オーくん
(くき)? ジロジロジローリ。あ! まだらもようがあるぞ。」

()かったね。(くき)のまだらもようを,マムシというヘビに()()てて()(まえ)をつけたというわけさ。」
モンタ博士

写真
マムシグサ
マムシグサのつぶやき
 ヘビの鎌首(かまくび)()えるのは()(じょ)(つつ)()変形(へんけい)したもので,仏炎苞(ぶつえんほう)というものなんだ。この仏炎苞(ぶつえんほう)(しろ)くてきれいに見えるものが,尾瀬(おぜ)などでも有名(ゆうめい)で,人気(にんき)抜群(ばつぐん)のミズバショウというわけさ。つまり,ミズバショウもおいらも(おな)じなかまで,サトイモ()植物(しょくぶつ)ということだ。ところが,おいらは,その(かたち)といい,(いろ)といいあまり(この)まれないようなんだな。なかにはグロテスクだなんていうやつもいるし,まいっちゃうよな。ちなみにコンニャクもおいらと同じなかまさ。ところで,おいらは,(おす)(かぶ)(めす)の株に()かれているんだ。もちろん,()(かぶ)()ができるんだけど,()(かぶ)花粉(かふん)(はこ)ぶのはキノコバエなどで,(はな)には(みつ)(なに)もないのさ。独特(どくとく)なにおいで()ぶんだな。その(とき)()にも(おそ)ろしい計画(けいかく)()めているんだ。
 まず,キノコバエが仏炎苞(ぶつえんほう)(なか)(はい)ると,(からだ)のあちこちに花粉をつける。しかし,その中は,つるつるで()がれず,おまけに「ネズミ(がえ)し」のようなものまで(よう)()してあるので(うえ)に上がれない。でも,雄株に()()んだキノコバエはまだいい(ほう)さ。なぜかというと,雄株の仏炎苞(ぶつえんほう)()わせ()には(ちい)さなすき()があり,そこから脱出(だっしゅつ)できるんだ。でも,雌株めかぶはいるとちいさなすきもなくそのままキノコバエはいつか昇天しょうてん。キノコバエの悲鳴ひめいこえてくるようで,まったかみほとけもないというのは,このことなのかもね。
   てくてく自然散歩シリーズ
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