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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
4.自然界しぜんかいのつりあい・環境保全かんきょうほぜん地質ちしつ地形ちけい世界せかい
 (1)自然界しぜんかいのつりあい
(80)自然界しぜんかいのバランス(ヘビとカエルのおはなし
花ちゃん
「モンタ博士(はかせ)(もり)にはいろいろな()(もの)がいるんだということが()かりました。これからも人間(にんげん)は森と仲良(なかよ)くしていかなければいけないんですね。」

「そのとおりだね。『となりのトトロ』というアニメがあったけど,その(なか)で,お(とう)さんがサツキやメイちゃんに()っていた言葉(ことば)がモンタ博士(はかせ)()きだね。」
モンタ博士

オーくん
「え! どんなことを()ってたかな。」

「それはね,メイちゃんが(もり)(なか)(はい)ってしまった(あと)に,『(むかし)(ひと)()仲良(なかよ)しだったんだよ』というところさ。」
モンタ博士

花ちゃん
「なーるほど。人間(にんげん)(もり)()もいっしょに()きているということですね。」

「そうだね。つまり(もり)(みどり)こそが人間(にんげん)(いのち)基盤(きばん)であり,人間は(ほか)動物(どうぶつ)(おな)じように,本当(ほんとう)は森の寄生(きせい)(ちゅう)立場(たちば)でしか()きていけないということなんだよ。」
モンタ博士

オーくん
寄生(きせい)(ちゅう)って,()栄養(えいよう)をすったりするやつですか。」

「そうだよ。ちょっとたとえは(わる)いけどね,寄生(きせい)(ちゅう)というのは,その対象(たいしょう)である()(しゅ)絶滅(ぜつめつ)するほどは,その()栄養(えいよう)をすうことはないんだ。ようするに,共生(きょうせい)関係(かんけい)にあるということだね。」
モンタ博士

オーくん
(なん)だかむずかしくなってきたな。もう(すこ)しおいらにも()かるように,やさしくお(はな)ししてよ。」

「そうだね,ごめん。たとえばヘビとカエルを(れい)にとってみよう。(なが)歴史(れきし)でも(ひろ)地球(ちきゅう)でもヘビもカエルも絶滅(ぜつめつ)したことはないけど,もし,絶滅するとしたら,ヘビかな? カエルかな? どっちだと(おも)う。」
モンタ博士

花ちゃん
「いつもにらまれるカエルかな。」

オーくん
「いつもいばっているヘビかな。」

写真1
アズマヒキガエル
写真2
ヤマアカガエル

写真3
マムシ
写真4
アオダイショウ

「いろいろな動物(どうぶつ)研究(けんきゅう)をしてノーベル(しょう)をもらったコンラート・ローレンツ博士(はかせ)という(ひと)がいるけどね。博士の研究(けんきゅう)では,ヘビがふえすぎるとカエルをどんどん()べてカエルの(かず)がへるんだ。そして,カエルの数が十分(じゅうぶん)(いち)以下(いか)になると,もはやヘビはえさのカエルをさがせなくなる。そこで,いばっているヘビが最初(さいしょ)にだめになるそうなんだ。これが自然界(しぜんかい)のすがたなんだそうだ。」
モンタ博士

オーくん
「ふーん,なるほど。(つよ)(ほう)(さき)にダメになるということなのか。」

「そうだね。現実的(げんじつてき)にはヘビがへればカエルがふえて,カエルがふえればまたヘビがふえるんだけどね。」
モンタ博士

花ちゃん
自然界(しぜんかい)のバランスというのはうまくできているんですね。」

「そのとおりだよ。(なが)地球上(ちきゅうじょう)歴史(れきし)でも,ヘビもカエルも両方(りょうほう)とも絶滅(ぜつめつ)するということはないんだよ。」
モンタ博士

オーくん
自然界(しぜんかい)のバランスがよいから,両方(りょうほう)とも絶滅(ぜつめつ)しないんだな。」

「ところがだよ。ところが,ここで大切(たいせつ)なことは,どちらかが(さき)絶滅(ぜつめつ)するとすれば,それは,ふだんは(つよ)いと(おも)っている(もの),いばっている者の(ほう)が先にダメになる,言葉(ことば)()えれば,絶滅するということなのさ。このことをよく()っておかなければいけないと(おも)うけどね・・・。」
モンタ博士

いばっている(もの)こそ謙虚(けんきょ)さを(わす)れないで!
 (いま)(わたし)たち(じん)(るい)は,()(もの)と食われる者との(たち)()(あらわ)す,()(もの)でつながっている(ひと)つの(くさり)・・・食物(しょくもつ)連鎖(れんさ)・・・の頂点(ちょうてん)()って,一番(いちばん)いばってあらゆる欲望(よくぼう)満足(まんぞく)させようとしている。人口(じんこう)倍々(ばいばい)ゲームのように()えて,まるで人類が地球上(ちきゅうじょう)制覇(せいは)したような気分(きぶん)になっている。しかし,自然界(しぜんかい)のエネルギーの(なが)れから()生態(せいたい)(けい)(なか)で,(みどり)植物(しょくぶつ)生産者(せいさんしゃ)であるのに(たい)して,人間が消費者(しょうひしゃ)の立場,寄生(きせい)(ちゅう)の立場にいる以上(いじょう),緑・・・それが立体的(りったいてき)につまっている(もり)・・・を()()くした(とき)最初(さいしょ)にダメになる,最初に破滅(はめつ)する,最初に絶滅(ぜつめつ)するのは,自然界を()()く生態系の()(しき)から見れば,(じつ)は,人間の(ほう)なのであることをしっかりと認識(にんしき)しなければならない。
   てくてく自然散歩シリーズ
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