3.動物の世界
(5)ハチのなかま
(67)女王バチってどんなハチ?
「うわあー! こわい。」
「ごめん,ごめん。おどかすつもりはなかったんだ。ごめんね。本当にごめんなさい。」
「どうしたの? 何をそんなに大さわぎしているのかな? あれ,オオスズメバチだね。それも,これは女王バチだね。」
「すごいだろう。この前の日曜日にとったんだ。」
「え! オー君がとったの。」
「おいらじゃないさ。榎田さんという人がいるんだけど,その人にとってもらったんだ。そうだよね,榎田さん!」
「そうだよ。ぼくは,モンタ博士のお弟子さんでね,今年,小学校の先生になったんだ。よろしくね。みんなといっしょにてくてくできるので,もう,ちょう,うれしいのさ。イケメンの榎田さんとでもよんでもらおうかな。」
「ふーん,そうなんだ。でもね,スズメバチはこわいハチなんでしょ。むやみやたらにとったりしないほうがいいんでしょ。けがしたらたいへんだわ。」
「そうだね。ほんとうに注意しないといけないよ。気をつけようね。」
「ところで,モンタ博士。女王バチって,どういうハチですか。」
「今の季節,見られるアシナガバチやスズメバチは,ほとんどが女王バチなんだ。寒さから目を覚まし,巣をつくる場所をさがしているんだよ。」
「それから,どうするんですか。」
「まず,巣の場所を決めたら,巣をつくって,たまごを産む。それから,幼虫を育てるんだ。この幼虫がはたらきバチになるのさ。そして,次から次へとタマゴを産みつづける。そうやって,たくさんのはたらきバチがいろいろなはたらきをするんだよ。」
「どんなはたらきをするんですか。」
「そうだな。幼虫のえさをとってきたり,てきとたたかったり,それから,巣をつくったり,そうじもするね。つまり,いろいろ な仕事を分け合ってやっているそうなんだ。」
「ふーん。ハチって,みんな協力しているんですね。」
最も危険な野生動物
ヒグマが人をおそったり,毒蛇のハブにかまれたりと,野外には危険な野生動物がいっぱいいます。その中でも最も怖いのがスズメバチです。スズメバチを見かけたら,無闇やたらと追いかけたりしてはいけません。じっとしていて,通り過ぎるのを待ちましょう。 ハチに刺されるととても痛いのは,針により蟻酸という酸が体に注入されるからです。そのため,弱アルカリ性の薄いアンモニア水をつけて中和させることが大切です。しかし,スズメバチなどの仲間は,タンパク質系の毒を持っているので,抗原抗体反応によりショック死する場合もあります。これは,人の体では,自分の体内で作られた以外のタンパク質が入ってくると,「異物」として拒否反応を示すからです。スズメバチに刺されても,それほどの痛みはありませんが,早めにお医者さんに行き,適切な治療をしてもらうことが大切です。