2.植物の世界
(2)葉・茎・根のつくりとはたらき
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(9)わあ、楽しい! 草花あそびの世界
(10)あら、不思議? 植物マジックの世界
(63)クサノオウは黄色のマーカーペン(タンポポは白い液)
「あれ,この花,どこかで見たような気がするよ。」
「この前の自然観察会の時に見たわ。」
「そうだ。思い出した。みんなで遊んだ草だ。」
「そうね。みんなでサインペンみたいにして遊んだわ。とっても楽しかったわ。また,遊びたくなっちゃった。」
「みんなはどんなことをして遊んだの?」
「ぼくは,へのへのもへじをかいたよ。マーカーペンのように,すらすらと書けるんだよね。」
「私は,花の絵をかいたの。でも,不思議よね。茎を折っただけなのに,黄色いしるが出るなんて,とっても不思議。」
「不思議だな。どうしてかな,と考えることが大切なことなんだよね。植物には,黄色いしるが出るものもあるし,白いしるが出る草もあちこちにあるよ。」
「そうだ。私,思い出した。タンポポの笛をふこうとした時に, 葉っぱや茎を切ったら,白いしるが出たわ。」
「ふーん。おいらは虫が好きだけど,植物もけっこうおもしろいんだな。植物って動かないからつまらないと思ったけど,いろいろとやってみると楽しいんだな。」
「そうだよ。だから,植物はただ見るだけじゃなく,さわったり,折ったり,遊んだり,においをかいだりすると楽しいよ。」
「ところで,モンタ博士。これは,何ていうお花。」
クサノオウ
「そうだね。みんななら,何という名前にする?」
「黄色いしるが出るし,ペンのようにかける から・・・,黄色サインペン草! なんてどうかな?」
「いいね,おもしろいね。とくちょう をよくつかんでいていいね。」
「白い毛ふわふわぺん草,なんてどうかしら?」
「いいね,いいね! 二人ともすばらしいよ。 大切なことは,名前を覚えることではなくて,植物と仲良しになることだよ。」
「植物は,無理して名前を覚えなくてもいいと聞いたら,おいら,気持ちが楽になっちゃった。ねえ,花ちゃん,いろいろなペン草を集めに行こうよ。」
「うん! 行こう,行こう!」
タンポポの白い汁は何のため?
タンポポの茎や葉を切ると白い乳白色の液体が出る。これが指について,べとべとになったことのある人は多いと思う。しかし,これがなぜなのかはあまり知られていないようである。この乳液中には一種のゴム成分が含まれているせいである。では,この乳液がなぜ出るかというと,植物にとって,この成分は傷口を固めて保護すると同時に,葉を食べた小さい昆虫の口をべとつかせて防ぎ,さらなる摂食作用を妨げる防衛手段となっているのである。昔,ソビエトという国があり,この国の戦車のキャタピラには,タンポポの仲間の植物の乳液から作ったゴムが使われていたということである。