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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
1.身近みぢか自然しぜん観察かんさつ
 (2)とり植物しょくぶつ
(51)ツバキのはな観察かんさつポイント
写真
ツバキ
花ちゃん
「モンタ博士(はかせ),とっても(あたた)かくなってきましたね。」

オーくん
「そうだよ。おいら,昨日(きのう)(はん)そでで(あそ)んでいたんだ。」

(きび)しい(ふゆ)ともおさらば。だんだんと(はる)らしくなってきてとても気持(きも)ちいいね。」
モンタ博士

オーくん
「ところで,モンタ博士(はかせ)(うえ)()は,ツバキですか。」

花ちゃん
「オー(くん),そのとおりよ。(むし)だけでなく植物(しょくぶつ)もくわしくなったわね。ところで,ツバキは(はる)になると()くので,漢字(かんじ)では『椿(つばき)』となるのよね。おまけだけど,()へんに(なつ)で『(えのき)』でしょ。それから,(くさ)かんむりに(あき)で『(はぎ)』,それから,木へんに(ふゆ)で『(ひいらぎ)』というんですよね。モンタ博士(はかせ)。」

「よく(おぼ)えていたね。そのとおりだよ。今日(きょう)はツバキについてお(はな)ししよう。もうそろそろ,あちこちで()(はじ)めていると(おも)うよ。校庭(こうてい)にもあるよ。それから公園(こうえん)にもたくさんあったよ。みんなのおうちの(ちか)くにもきっとあると思うよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「モンタ博士(はかせ),ツバキの観察(かんさつ)ポイントというのは(なん)ですか。」

「それは,()っぱだよ。」
モンタ博士

オーくん
()っぱ? ただの葉っぱだよ。ちょっと(あつ)(かん)じで,(すこ)(ひか)っているだけのただの葉っぱだよ。」

「ただの()っぱで(かた)()けてはいけないよ。(いま)(あつ)いとか(ひか)っているとかいったね。()たり(まえ)()えることでも,それがどうしてかと(かんが)えることが大切(たいせつ)だよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「あ! そうだ。(おも)()したわ。ツバキという名前(なまえ)は,(あつ)()()(アツバキ),または,(ひか)ってつやがある葉の木(ツヤバキ)というのが由来(ゆらい)でしょ。」

オーくん
(なん)だか,だじゃれっぽいですね。でも,何で,この()(ひか)っているの。」

「そうだね。そのようになぜかな,と自分(じぶん)(あたま)(かんが)えることが大切(たいせつ)だ。()(ひか)っているのは,クチクラ(そう)というワックス層があるためさ。」
モンタ博士

オーくん
「なあに,そのクチクラというのは。」

「クチクラとはもともとはラテン()だけど,英語(えいご)()みすると,『キューティクル』なんだ。シャンプーやリンスのテレビコマーシャルで()いたことはないかな。」
モンタ博士

花ちゃん
「あるわ,あるわ。(かみ)()をキューティクルに(まも)るとか()ってたわ。」

「キューティクル,つまりクチクラは,表面(ひょうめん)をおおうワックスとして,()っぱの内側(うちがわ)乾燥(かんそう)などから(まも)(はたら)きがあるのさ。」
モンタ博士

オーくん
「なるほど,ツバキが(ふゆ)乾燥(かんそう)(さむ)さをがまんして,(みどり)()っぱをつけていることができるのは,このクチクラというもののおかげなのか。」

写真
園芸えんげいのツバキ
「それだけじゃないよ。この仲間(なかま),つまり,()表面(ひょうめん)がテカテカに(ひか)っているような()(これを(しょう)葉樹(ようじゅ)という)は,自動車(じどうしゃ)排気(はいき)ガスやけむりからも葉っぱを(まも)っているんだよ。ところで,(うえ)()はツバキの園芸(えんげい)品種(ひんしゅ)なんだ。江戸(えど)時代(じだい)にはツバキの園芸(しゅ)がたいへんなブームになったんだ。」
モンタ博士

花ちゃん
「ふーん。モンタ博士(はかせ),ツバキという()は,ふつうはどこにあるんですか。」

「ツバキという()北海道(ほっかいどう)にはないけど,日本(にほん)全国(ぜんこく)のどこの(やま)にでも自然(しぜん)にある木なんだ。どちらかというと(あたた)かい地方(ちほう)(おお)い木だね。」
モンタ博士

オーくん
「モンタ博士(はかせ),ツバキの()(なに)利用(りよう)できるんですか。」

「ツバキはね,()がかたくて,木のトンカチや楽器(がっき)などにも使(つか)われるんだ。それから,お(ぼう)さんがたたく木魚(もくぎょ)もツバキの木から(つく)られるそうだよ。それからツバキ(あぶら)というのも(ゆう)(めい)なんだ。さらにシャンプーにも使(つか)われるそうだよ。」
モンタ博士

オーくん
「でも,モンタ博士(はかせ)。ツバキは,なぜこんなに(さむ)季節(きせつ)にさくのかな。」

「それはね,(とり)との関係(かんけい)からなんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
(とり)・・・。あ! そうか。こんなに(さむ)くては(むし)()ばないわ。それで,ツバキは鳥に花粉(かふん)(はこ)んでもらうのね。そういうのを風媒花(ふうばいか)ではなくて,虫媒花(ちゅうばいか)でもなくて,鳥媒花(ちょうばいか)というのよね。」

「そうだよ。(とり)爬虫類(はちゅうるい)などと(ちが)っていつも体温(たいおん)(あたた)かいね。そういうのを恒温(こうおん)動物(どうぶつ)というんだけど,とてもカロリーを(ゆた)かにしていなければならないのさ。そのために,ツバキのおしべ・めしべのもとにあるあまい(みつ)をもらうのさ。その(とき)花粉(かふん)(からだ)につくんだね。」
モンタ博士

写真
ツバキの断面図だんめんず
オーくん
「そうか,(ふゆ)には,えさになる(むし)(すく)ないからな。」

「それから,ツバキの(はな)(おお)きさや(かたち)や花の()きなどもよく()てごらん。(なに)()がつくことがないかな。」
モンタ博士

オーくん
「なるほど,ツバキの(はな)(とり)がくちばしをつっこむのに都合(つごう)がいい(おお)きさだな。」

花ちゃん
「それから,ふつうの(はな)は,(うえ)()いたものが(おお)いけど,ツバキは(とり)たちがくちばしを()れやすいように(よこ)()いているわ。」

「そうなんだよ。植物(しょくぶつ)(むし)とはいっしょに進化(しんか)して,どちらにも都合(つごう)のよいようにできているんだ。それから,(はな)(おも)さはどうかな。」
モンタ博士

花ちゃん
(なん)だか(おも)さのある(はな)だけど,その理由(りゆう)は,ツバキの花びらは(とり)体重(たいじゅう)でもだいじょうぶなようにがっしりとしているからなのね。」

「それじゃ,最後(さいご)観察(かんさつ)として(はな)使(つか)ってみてごらん。ツバキの(はな)はどんなにおいがするかな。スイセンのようなにおいかな。バラのようなにおいかな。」
モンタ博士

オーくん
「クンクン。クンクン。あれ? (なに)もにおわないぞ。」

花ちゃん
「クンクン,クンクン。(ほん)(とう)だ。ふつうのお(はな)というのは,においがするはずなのに,おかしいわ。」

「においがしないだろう。それじゃ,においは(なん)のためかをよく(かんが)えてごらん。」
モンタ博士

オーくん
(むし)()るようににおいを()すんだ。でも,ツバキには必要(ひつよう)ないんだ。」

(とり)(あか)(いろ)()つけたり,()はいいけど,(はな)はにぶいんだ。においはいらないんだよ。」
モンタ博士

ツバキの(あか)(いろ)はなんのため?
 (あか)(いろ)はとてもよく目立(めだ)つと同時(どうじ)に,なぜかとても食欲(しょくよく)をさそう色でもある。(まち)(ある)くとよく()につくハンバーガー()さんや牛丼屋(ぎゅうどんや)さんの看板(かんばん)色調(しきちょう)は赤が基本(きほん)である。中華街(ちゅうかがい)を歩くと,赤が(おお)いと(かん)じたのは(わたし)だけでしょうか。ある(ひと)(あお)いふりかけを(つく)ったところ,まったく()れずに人気(にんき)()なかったそうで,やっぱり赤は食欲をさそう色だ。ツバキの(はな)は,(とり)たちに「こっちにあまいあまいみつがあるよ。おいで,おいで!」と()っているのかもしれない。
   てくてく自然散歩シリーズ
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