1.身近な自然の観察
(5)自然観察・実験のてびき
(50)自然のシグナルをキャッチしよう
(スイカズラの花のにおい)
「あーあ,つまんねえな・・・。」
「あーあ,雨がふっちゃった・・・。」
「運動会が中止になっちゃった。」
「楽しみにしていたのにな・・・。」
「まあまあ,そんなに落ちこむことはないよ。晴れの日もあれば,雨の日もあるさ。そういう時は,インターネットで東京書籍の『花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩』でも見るといいよ。」
「といってもな・・・。」
「モンタ博士,何かお話しして。」
「それでは,今からはてなふくろ遊びをしようか。」
「はてなふくろ遊び?」
「この前,ブラックボックスという,手を箱に入れて,何かを当てる遊びをしたよね。今日は,ふくろの中に鼻をつっこんで,においをかいで中のものを当てる遊びだよ。さて,どんなものが中に入っているのかな。」
「なるほど,それは楽しそうだ。おいらからにおいをかいでみるね。クンクン。何だか犬になったみたいだな。ありゃ,こりゃ,何のにおいだ。」
「私もにおいをかいでみるわ・・・。クンクン。あ! これはスイカズラだわ。」
「そのとおり。大当たり。」
スイカズラ
「え! 何? スイカとカツラがどうしたって。」
「ちがうわよ。スイカズラよ。スイカズラのスイはにおいをすうという意味で,カズラというのは,からみつく植物という意味ですよね。」
「さすがだね。そのとおりだね。」
「もう一度においをかいでみよう。クンクン。なかなかいいにおいだな。」
「花のにおいや草のかおり,そういう物を敏感に感じとれることが大切なんだよ。季節を花のかおりで感じとれるなんてステキなことだと思うよ。カレンダーで季節を知るのではなく,光や風の様子,その他,自然の発するいろいろなシグナルに反応できる子になってほしいね。」
「モンタ博士,学校の近くにもまだまだたくさんのスイカズラがありますよね。」
「もちろんあるさ。見つけたら,モンタ博士に教えてほしいね。」
「ところで,モンタ博士。どうして花はにおいがするのか,おいら一生懸命に考えたんだけど,それは,やっぱり虫と何か関係あるんでしょ。」
「そのとおりだね。これからの季節は,においの強い植物が多くの花をさかせるね。」
「え! モンタ博士,今,何て言ったの。これからの季節?」
「これからの季節に,どうしてそんなににおいのする花が多くなるの。」
「それはね,どうしてかというとね。ヒントは夏と雨だね。」
「えー! それってどういうこと?」
「それは,夏になると気温がどうなるか。雨が降ると湿度がどうなるかを考えればいいのさ。」
「そうか,においというのは,高い温度のほうがよくにおうということだわ。」
「そうか,においというのは,湿り気が高いほうがよくにおうということだ。そうか,これからいよいよ虫たちの季節になるぞ。さあ,昆虫採集するぞ。」
スイカズラ
スイカズラのつぶやき
私はスイカズラよ。葉っぱのつけねに花を二つずつつけるのよ。私は,とっても変わっ た特徴を持っているのよ。どういうことかというと,花の色がさき始めと終わりではちがうの。初めは白だけど,だんだん黄色っぽくなるの。それで,私のことを金銀花という人もいるのよ。花の色が変化するなんて,アジサイにちょっと似ているでしょ。花どきにあまいかおりを辺りに漂わすのよ。それも夜の方がよくかおるわ。花を一つとって口にふくんでみて。あまいみつの味がするでしょ。それで,スイカズラともいわれるのよ。私は別名を忍冬ともいうの。なぜかというとね,冬も半常緑で葉を丸めて冬を越すからなのよ。私の友達にツキヌキニンドウという園芸植物があるけれど,美しさや気品あるかおりは私のほうが,そりゃ,ずっと勝っているんですからね。