東書キッズ

２．植物（しょくぶつ）の世界（せかい）
　（1）花（はな）のつくりとはたらき
　（3）被子（ひし）植物（しょくぶつ）（双子葉類（そうしようるい））のなかま

（41）あまいクズの花（はな）のひみつを観察（かんさつ）しよう（蜜標（みっぴょう）について）

クズの花

「みなさん，ごぶさたしておりました。ぼくはいつも元気（げんき）なオー君（くん）です。」

「はーい。みなさん，こんにちは。いつも明（あか）るく，笑顔（えがお）いっぱいの花（はな）ちゃんです。」

「またまた，みなさんにお会（あ）いできて，とってもうれしいね。ところで，今日（きょう）もみんなで植物観察（しょくぶつかんさつ），昆虫（こんちゅう）採集（さいしゅう）に出（で）かけよう。そして，生（い）き物（もの）の不思議（ふしぎ）な世界（せかい）をいっぱい，いっぱい見（み）つけようね。」

「あれ？　クンクン？？？　何（なん）だか，どこかであまい，いいにおいがするぞ。何（なん）だろう。」

「そうね。何（なん）だか，ブドウのようなにおいがするわ？？？」

「においの正体（しょうたい）はね･･･。ほら，あそこにあるつる植物（しょくぶつ）のクズの花（はな）だよ。」

「え？　くず･･･クズ･･･？　へんてこな名前（なまえ）だな。」

クズの花

「へんてこでもないわ。クズというのが本当（ほんとう）の名前（なまえ）なのよ。そうですね。モンタ博士（はかせ）。」

「クズというのは，根（ね）っこを掘（ほ）ってね，くず粉（こ）というデンプンをとってね。風邪（かぜ）の薬（くすり）にもなるんだよ。昔（むかし）から人（ひと）と植物（しょくぶつ）は仲良（なかよ）しだったんだよね。」

「もっと近（ちか）くでにおいをかいでみましょうよ。」

「そうしよう。そうしよう。」

「クンクン。いいにおいだわ。」

「クンクン。あまいにおいだ。キャンディーのようなにおいだね。」

「キャンディーのようなにおいか･･･。うまいことをいうね。そうだ，ここで復習（ふくしゅう）だよ。植物（しょくぶつ）の観察（かんさつ）で大切（たいせつ）なことはどんなことだったかな。」

「五感（ごかん）を使（つか）って観察（かんさつ）するんですね。」

「目（め）だけでなく，さわってみたり，においをかいでみることが大切（たいせつ）なんでしょ。ときには，自分（じぶん）の口（くち）で味（あじ）をみることだってやってみてもいいんでしょ。」

「ピンポーン。そのとおり。ただし，お口（くち）に入（い）れるときは，安全（あんぜん）なものだけにするんだよ。ところで，クズの花（はな）をよく見（み）てごらん。どうなっているかな。」

「ジロジロ･･･ジロリ･･･。あれ，色（いろ）がちがう。」

「え！　色（いろ）がちがう？　どういうことなの。」

「全体的（ぜんたいてき）に赤紫色（あかむらさきいろ）をしているけど，真（ま）ん中（なか）だけ少（すこ）し黄色（きいろ）いわ。どうしてかな。」

「よいことに気（き）がついたね。どうしてかなと考（かんが）えること，なぜかなと想像（そうぞう）することが大切（たいせつ）だと思（おも）うよ。生物（せいぶつ）の世界（せかい）では必（かなら）ず何（なに）か意味（いみ）があるはずだね。」

「分（わ）かった。みつだ。」

「え！　みつ？　みつってあのあまいみつ？」

「そうだよ。植物（しょくぶつ）が花（はな）を咲（さ）かせるのは，ぼくたち人間（にんげん）のためじゃない。もちろん，虫（むし）のためでもない。自分自身（じぶんじしん）の子孫（しそん）を残（のこ）すためさ。」

「それで，それで･･･。」

「赤紫色（あかむらさきいろ）の中（なか）に黄色（きいろ）があれば目立（めだ）つでしょ。その目立つ場所（ばしょ）に虫（むし）が頭（あたま）をつっこんでみつを吸（す）うのさ。この時（とき）に，花粉（かふん）がついて，次（つぎ）の花（はな）に受粉（じゅふん）するのさ。つまり，目立（めだ）つ色（いろ）でみつのありかを虫（むし）たちに教（おし）えているというわけさ。」

「ピンポーン。そのとおり。みつのありかを示（しめ）すしるしなので，むずかしい言葉（ことば）で「蜜標（みっぴょう）」というのさ。さあ，これから，虫たちが来（く）るぞ。みんなでじっくりと観察（かんさつ）することにしよう。」

クズの花

デジカメ写真（しゃしん）も入れ，いちだんと充実（じゅうじつ）した内容（ないよう）にします

　理科（りか）ばなれや自然（しぜん）ばなれがさけばれていますが，本来（ほんらい），子（こ）どもは自然（しぜん）に対（たい）してはとても敏感（びんかん）で，すばらしい感性（かんせい）を持（も）っていると信（しん）じています。ゲームやパソコンなどバーチャルな世界（せかい）がすべて悪（わる）いというわけではありませんが，草木（くさき）のかおりや大地（だいち）のにおい，虫（むし）の動（うご）きや感触（かんしょく）など，子ども時代（じだい）にぜひ体験（たいけん）してほしいと願（ねが）っています。その自然の本当（ほんとう）の姿（すがた）を子どもたちに少（すこ）しでも理解（りかい）してもらい，自分（じぶん）たちの住（す）んでいる所（ところ）にほこりと愛着（あいちゃく）を持（も）ってもらいたいと思（おも）います。虫（むし）や植物（しょくぶつ）などの様子（ようす），自然観察（しぜんかんさつ）の方法（ほうほう），さらに生態的（せいたいてき）な内容（ないよう）も含（ふく）め，いろいろと書（か）きつづっていきます。デジカメで撮（と）った写真（しゃしん）もたくさん入（い）れていきます。また前号（ぜんごう）までと同様（どうよう）に子どもたちに親（した）しみやすいものにしたいと思い，会話形式（かいわけいしき）にしてあります。今後（こんご）も一生懸命（いっしょうけんめい）に工夫（くふう）し自分自身（じぶんじしん）も勉強（べんきょう）を重（かさ）ね続（つづ）けていきたいと思います。よろしくお願（ねが）いします。
　　･･･モンタ博士（はかせ）の友達（ともだち）の森田弘文（もりたひろふみ）より。