2.植物の世界
(2)葉・茎・根のつくりとはたらき
(10)あら、不思議?植物マジックの世界
(34)楽しい植物マジック
②ケヤキの葉っぱでインスタントエンピツけずり
「モンタ博士,この前は,植物を使っていろいろなマジックを見せてくれたでしょ。ほかに楽しい実験はないの。」
「そうだな,いろいろあるけど,今日は,エンピツのしんをけずる実験のお話をするね。」
「え? エンピツのしんをけずる?」
「そうだよ。エンピツのしんの先が丸くなってしまって,字がじょうずに書けないときがあるよね。そんな時にある葉っぱを使って,しんの先をとんがらせる実験さ。」
「え? そんなことができるんですか。」
「それじゃ,葉っぱを使ってインスタントエンピツけずりができるということ?」
「そのとおりさ。花ちゃんもオー君もいろいろな葉っぱをさわったことがあると思うけど,葉っぱの表面というのは,つるつるしていたり,てかてかに光っているものがあったりするけど,中には,ざらざらしているものもあるんだよ。そいつを使ってエンピツのしんをけずるのさ。」
「何だかおもしろそうですね。」
「花ちゃん,いっしょにエンピツのしんをけずろう。でも,どの葉っぱでやるの。」
「そうだね。校庭にもいろいろな葉っぱがあるからね。そうだね。ケヤキの葉っぱでやってみるといいよ。」
「それ行け! レッツ・ゴー!!!」
ケヤキの葉
「あらまあ,もうすっ飛んで行っちゃった。」
「だいじょうぶだよ。みんなに実際にエンピツをけずってもらうために,ケヤキの葉っぱを用意しておいたから,今からやってみようね。」
「エンピツの先を少し丸くしてからやってみるわ。あらまあ,ほんと! けずれているわ。これは自然のインスタントエンピツけずりだわ。インスタント紙やすりみたいですね。」
「あまり強くけずろうとすると,葉っぱがやぶれるから気をつけてやろうね。」
「モンタ博士,ケヤキのほかには,どんな葉っぱでできるんですか。」
「ムクノキ,ハルニレ,アキニレ,エノキなどニレ科植物はだいたいOK。どうしてけずれるかというとね,かたいトゲのような毛があるからなんだよ。トゲにはガラスがふくまれているからさ。」
ハルニレ アキニレ ムクノキ エノキ
植物の中にガラスがあるってホント?・・・
ニレ科植物は,葉の表面の毛にケイ酸を含んでおりザラザラしています。物を磨く時に昔は使われました。ムクノキの語源は剥く(むく)で磨くという意味です。ケイ酸とは,珪素と酸素と水の化合物で岩石などの主成分で,天然には水晶や石英などに存在します。そのケイ酸は植物にも微量に含まれています。特にイネ科植物には多く,ススキの葉で手を切るなどは,このケイ酸の仕業です。細長いイネ科の葉がまっすぐに立っているのも,ケイ酸が多く含まれているからです。