2.植物の世界
(13)植物で健康シリーズ!薬の世界
4.自然界のつりあい・環境保全・地質と地形の世界
(4)自然のめぐみ
(15)薬用植物(アオキやホコリタケなど)
「ねえ,モンタ博士,この前のネギのお話はとってもよく分かりました。それで,私,考えたんですが,ネギというのは人間が育てたもので,そういうのを野菜というんですよね。」
「そのとおりだよ。ネギはもともとは,古い時代に中国から伝えられたものらしいんだよ。」
「そこでですね,野外の野や山に生えているもので,野菜としてではなく,ほかに何かに利用したものはないんでしょうか。」
「いいことを聞いてくれるね。モンタ博士も話したかったことさ。植物の研究というのはね,もともとは薬の研究のためにあったんだよ。」
「薬の研究ですか。なるほど,薬という字は草かんむりですね。薬の研究のために植物を調べ始めたのは,どのくらい前からなんですか。」
「世界でいちばん古いものは,エジプトのピラミッドの中から見つかったパピルスに書かれたもので,約3500年前くらいかな。中国には2000年くらい前に薬草のことをくわしく書いた『神農本草経』という本があったそうだよ。」
「えー! そんなに昔から植物のことを調べていたのか。おどろいちゃうな。」
「おどろくのはまだ早いよ。何とその本の中には今でも使われているものがあるんだからね。」
「ほんとですか。それじゃ,今,私たちがよく飲む薬というのも,もとは植物?」
「そうだね,植物は薬の原料としてとても大切なものなのさ。」
「ふーん。それじゃ,野原にも薬になる植物というのがたくさんあるのかな。」
「あるよ。あるよ。そこらじゅうにあるよ。今から,薬になる植物を見つけに行こうか。」
「やったー。ぼく,植物のことを研究して,薬を作る博士になっちゃおうかな。」
「あれ? オー君は昆虫の博士になるんじゃなかったの。まあいいわ。ところで,どこに行けばいいのかしら。」
「そうだな,まだ寒いしな。そうだ,ホコリタケでも見つけに行こう。」
ホコリタケ
「ホコリタケって,何かききめがあるの。」
「ホコリタケのけむりは切りきずにいいんだよ。それから,今,赤い実をつけ始めたアオキの葉っぱは火であぶると,はれものにきくんだよ。アオキの赤い実は知っているよね。」
アオキ(ミズキ科)
「この前,うら山に行ったときに,アオキの実を取って投げて遊んだよ。」
「オー君は私にアオキの実をたくさんぶつけたんですよ。モンタ博士,おこってください。」
「まあまあ,けんかはよくないよ。ところで,野外でも役立つ植物はいっぱいあるということだよ。植物は,衣・食・住だけじゃなくて,薬にもなるんだね。野外で役立つ代表的なものを少しまとめたよ。」
虫さされによくきく |
ヤブガラシ,オオケタデ,キリンソウ,アカザ,ウワバミソウ |
はれものによくきく |
ユキノシタ,ドクダミ,オオバコ,アオキ,イヌホオズキ |
切りきずによくきく |
ミゾソバ,ホコリタケ,ヘラオオバコ,チドメグサ,オトギリソウ |
やけどによくきく |
ヒルムシロなど |
「しかし,大けがをしたら,救急車ですぐに病院に行った方がいいよ。チドメグサを探したり,ヨモギをせんじているひまなんかないからね。」
「なるほど。ぼくは,薬草を楽しみながら勉強して使うようにするね。ところで,ヨモギも薬になるの? ぼく知らなかったな。くわしく教えて!」
東京薬科大学薬用植物園に行こう
日野市平山城址公園の近くにある大学で多くの薬用植物が自由に観察できる。事前に大学に連絡をとっておくとよいでしょう。東京薬科大学にはモンタ博士のお友達の指田豊博士(この方は薬学の教授で本当の博士です。)先生がおります。運良く会えれば,直接指導をしてもらえるかもしれませんよ。