1.身近な自然の観察
(3)季節と生物
(11)温度の変化と生き物(恒温動物と変温動物)
「モンタ博士,今ね,理科で水のいろいろな変化の様子をお勉強しているの。とっても楽しいわ。」
「水をアルコールランプで熱したり,こおらせたりするんだ。たくさんの実験がぼくは楽しみだな。」
「水の蒸発やふっとうなどの実験は楽しそうだね。気をつけてやるんだよ。
ところでさ,温度と生き物ということで,この前,ある資料を見つけたんだ。」
「温度と生き物? どういうことかな。」
「温度の変化と生き物の生活ということかしら。」
「まあ,そういうことだろうね。人間などほにゅう類は恒温動物といって,いつも体の温度が一定だろう。ところがね・・・。」
「はちゅう類や両生類,それに,魚類は変温動物といって,周りの温度が変わると,それにつれて体温が変わる動物なんだよね。ぼく,よく知ってるだろう。えっへん。どんなもんだい。」
「よく勉強しているね。たいしたものだ。人間はね,体温が20度以下になると,生きていけないんだ。でもね,動物の中には,ものすごく寒さに強いものがいるんだよ。」
「どんな動物がいるのかな。」
「例えばね,ヒキガエルなんかは,マイナス20度という,低い温度でも死なないんだ。皮膚がこおってカチカチに固まっていても,もとの温度にもどせばまた生き返るんだよ。」
「マイナス20度といえば,水はもちろんこおってしまうよね。それでも生きているなんてたいしたものだね。ぼく,おどろいちゃうな。」
「おどろくのはまだ
早いよ。ここに
金魚が金魚ばちにいたとするね。金魚ばちをそのままこおらせてしまっても,こたつの
中に
入れたり,ストーブのそばにおいて
氷をとかしたりすれば,また
元気に
泳ぎ
出すんだよ。」
「そんなことして死んでしまわないのかな。だいじょうぶなの。」
「それがだいじょうぶなのさ。シベリアという寒い所にいるサケはもっとゆかいだよ。川にたまごを産みに来たサケは,川といっしょにこおったまま何か月か過ごし,春になって氷がとけると,また元気よく泳ぎはじめるのさ。」
「なーるほどね。おもしろそうだな。ぼく実験してみようかな。」
「でも,どうしてそんなに寒さに強いのかな。不思議だわ。」
「自然の世界には不思議なことがいっぱいあるんだね。ところで,どうして寒さに強いかというとね,体の表面はこおっても中まではこおらず,冬眠のようなものかもしれないね。」
「もうほかには,寒さに強い生き物はいないのかな。」
「ウニやヒトデはマイナス5度でもだいじょうぶだし,イソギンチャクはマイナス10度でも平気らしいよ。それに,なんとカタツムリはマイナス120度(自然界ではそんな低い温度はない)の寒さでもたえられるということだよ。」
「マイナス120度!!! すごいなー。」
「低い温度や寒さに強い生き物のことは分かったけど,その反対に,ものすごく熱い温度でも生きられる生き物はいないのかな。」
【理科の楽しみ】
水は0度の凝固点で凍りだし,約100度の沸点で沸騰するなど,理科は自然界のいろいろな法則性を発見する楽しい教科である。近年,子どもの理科ばなれなどと言われているが,本来は子どもは理科好きである。理(ことわり)の科学が理科であり,未知の科学の世界をかいま見ることは知的好奇心や探求心を奮い立たせるものである。小学校理科の目標は自然に親しみ,見通しを持って観察,実験などを行い,問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を図り,科学的な見方や考え方を養う,と学習指導要領にもある。