1.身近な自然の観察
(1)昆虫と植物
2.植物の世界
(1)花のつくりとはたらき
(10)昆虫が集まるヤツデの花(光る蜜のひみつ)
「モンタ博士,虫が集まっている木というのはどこにあるの。」
「ほら,ここだよ。よく見てごらん。」
「ヤツデの木ですね。」
ヤツデ(ウコギ科)
「これがヤツデという木なのか。高尾山でこの葉っぱのウチワを買ったことがあるよ。」
「そうだね。ヤツデは別名をテングノウチワともいうんだよ。」
「ヤツデというのは,八つに葉っぱの先が分かれているから八つ手でヤツデとよばれるんだけど,葉の先が七つとか六つに分かれているのもあるのよね。」
「花は白であまりきれいという感じじゃないな・・・おっ!!! 虫がいたぞ。」
「さすがはオー君だね。すぐに見つけるね。どんな虫がいるのかな。」
「アブ,ハエ,それから,ハチもいるな。あっ! キタテハの秋型もいるぞ。」
「そうだね。ハナアブ,オオクロバエ,クロスズメバチなどいろいろいるね。ところで,これらはどんな虫かな,何か気がつくことはないかな。」
「モンタ博士はすごいですね。パッと見ただけですぐに名前がわかっちゃうんだから。」
「名前というのはね,そんなに無理して覚えたつもりはないよ。何度も見ているうちに自然に覚えちゃうのさ。ところで,何か気がつくことはないかな。」
「あれ? どの虫たちも,色が黒っぽい虫が多いね。ヤツデの花が白いからよけいに目立つだけかな。」
「私,思い出したわ。3年生のときに,理科でお勉強したけど,黒い紙と白い紙では黒い紙の方が,すぐに熱くなったわ。それと何か関係あるのかな。」
「そのとおりだよ。今ごろの気温は10度くらいだろう。それじゃふつうは虫は動くことができないんだけど,黒っぽい虫は太陽の光で体が温まって,体が16度くらいになるんだ。それで動きだせるのさ。このことはある学者が研究したことだから,まちがいないよ。」
「ふーん。ところで,何でアブたちは,ヤツデの花のところに来ているのかな。」
「そんなの決まっているよ。みつや花粉を食べに来ているのさ。」
「どこにみつなんかあるのかしらね。」
「それは,ちょっと見にくいかもしれないけど,虫メガネで一つ一つの花をじっくりと見てごらん。花びらは五枚あるだろう。おしべが五本あって,真ん中がめしべだよ。めしべのもとの所に←があるだろう。丸い形をしていて,花盤というけど,そこにみつがあるんだ。」
ヤツデの花
「かばんというのは,バックではなくて,花の台みたいなものかしら。」
「そのとおり。花の台のところをもっとよ見てごらん。」
「何か光っているみたいだね。みつが集まっているんだね。」
「そこが大切なところだよ。光っていることによって,虫たちを集めているんだよ。ヤツデの花はけっしてきれいな花じゃないけど,光ることで虫たちにサインをおくり,虫を集めるのにみつをつくっているんだよ。」
「ヤツデもいろいろと工夫しているんですね。感心しちゃうな。」
「ヤツデの秘密はまだまだあるけど,この続きは,またこの次にしようね。」