2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(11)おいしい植物の世界
(7)お茶のお話1
(緑茶も紅茶もウーロン茶もみんな同じ葉から)
チャ(ツバキ科)
「ねえ,花ちゃん。この前,これからの季節は花が少なくなるって言ったけど,そうでもないな。学校の行き帰りにしょっちゅう見る花があるよ。今日の朝,とってきたんだけど,これなんていう花なの。」
「まあ,これは,お茶の花よ。どこにあったの。」
「えっ! これがお茶の花? お茶って,緑色をしていて,ばあちゃんが飲んでいる,あれ?」
「そうよ。オー君,知らなかったの。これは花だけど,葉っぱをつんで,むしてから冷やして,それから手でもんでつくるのよ。」
「へえー。何でも知っているんだな。花ちゃん,さすがだね。」
「ねえ,オー君。どこにお茶の花がそんなにたくさんあったの。」
「学校のうらの門を出て東に向かって行くと,おじぞうさんがあるだろう。そこを左にまがるんだ。手前の道の両側にもういっぱいあったよ。」
「それは,知らなかったわ。私,こんどぜったいに見に行くわ。」
「花ちゃん,オー君。今日はお茶のお話かね。ぼくも仲間に入れてほしいね。」
「モンタ博士もお茶は好きでしょ。お茶っていつごろから飲んでいるのかな。」
「昔々の中国でね,ある人がお湯をわかそうと思っていたときに,木の葉が落ちてきて,そのお湯の中に入り,美しい色になったので,それを飲んでみたら,よい香りがして味もよくて,元気が出てきたそうだ。それがお茶の始まりらしいよ。2000年くらい前には飲んでいたと本にも書いてあるそうだよ。」
「ふーん。そんな昔から飲んでいたのか。なるほどね。ところで,モンタ博士は,おちゃけも好きらしいけど,お茶では,どんなお茶が好きなの。」
「そうだね。ふつうに飲む緑色の緑茶も好きだし,紅茶もいいね。それから,ウーロン茶もおいしいね。麦茶,コンブ茶,はぶ茶もよく飲むよ。」
「いろいろとお茶ってあるんですね。」
「麦茶はオオムギの果実,コンブ茶はコンブから,はぶ茶はエビスグサの種から作るんだ。でもね,緑茶,紅茶,ウーロン茶はみんな,同じチャの葉っぱから作るんだよ。」
「えっ! みんな同じお茶の葉っぱから作るの。知らなかったな。」
「作り方がちがうんだよ。むずかしいから話さないけどね。」
「ところで,どうして,そんなにお茶を飲むのが好きなんでしょうね。」
「お茶にはね,すべてカフェインというものがふくまれていてね,それが,気分をよくしたり,頭の働きをよくしたりするんだよ。昔はお茶は薬として使っていたと言われているんだよ。」
「お茶は頭がよくなるのか。そいつはいいことを聞いたぞ。」
「でも,宿題はちゃんとやらなければいけないんですよ。オー君分かった。」
「お茶はいつも緑色をした葉っぱをしているから,何と言うんだっけ。」
「いつも緑色の葉をつけているのは,常緑樹というんでしょ。」
「常緑樹は日本の南や西の地方に多いんでしょう。それじゃ,ふつうの山にもたくさんのお茶があるということなのね。」
「そうだね。普通の山にそこらじゅうにあるよ。自然に生えているんだよ。お茶と同じ仲間で,今,庭などにさいている花があるだろう。学校にもあるよ。何だか分かるかな。お茶でも飲みながらゆっくりと考えてごらん。」
緑茶も紅茶もウーロン茶もみな同じチャの葉っぱから
東海道を旅すると,茶畑が広範囲に広がっている。それらは,すべて,緑茶であるが,製法の違いによってウーロン茶も紅茶も作れてしまうのである。すなわち,紅茶とは,茶の生葉をしおらせてもみ,圧して発酵させてから,乾燥させたものであり,ウーロン茶は,弱く発酵させてもので,緑茶と紅茶の中間的なものである。
なお,世界で最も飲まれているお茶といえば,それは紅茶であり,世界の75%にものぼっている。なお,緑茶の高級品といわれる玉露とは,芽の出る前に20日間くらいすだれで覆うか,茶の木に直接わらを薄くかけて組織が固まらないようにしたものを摘み取り,もんで乾かしたものである。また,お抹茶というのは,玉露の葉の柄などの固い部分を取り除き粉末にしたものである。