2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(6)ヒイラギのお話と他の木へんのつく植物
ヒイラギ(モクセイ科)
「さいた,さいた,さいたわよ。だんだん寒くなってきたのに,見てこのお花。オー君分かる。香りがいいのよ。」
「ほんとだ。いいにおいだ。何ていう花なの。花ちゃん,教えて。」
「何でも,植物博士の花ちゃんに聞いてくださいね。えっへん。この花は,ヒイラギというのよ。寒くなってからさくのよ。どこかひかえめで私そっくり。」
「あ! ぼくはどこかで,この葉っぱで遊んだことがあるな。そうだ。思い出したぞ。親指と人差し指にはさんで口でフーとやれば,くるくる回っておもしろいよ。」
「うわあー。オー君上手ね。私もやってみようっと。あ! モンタ博士。いっしょに,ヒイラギの葉っぱで遊びましょう。」
「楽しそうだね。いっしょに遊ぼうね。ところで,このヒイラギの葉っぱをよく見てごらん。木の上の方から下の方までだよ。何か気がつかないかな。」
「あれ? 全部が全部,葉っぱのふちのところが,とげとげみたいになっていると思ったら,そうじゃないのもあるぞ。これは新発見というやつだ。」
「葉っぱのふちがふつうの葉っぱみたいに丸くなっているのもあるわ。」
「そうなんだ。ヒイラギはね,子どものときの木はとげとげがあるけど,大きく太い木になると,とげとげがなくなるんだよ。ところで,このヒイラギというのは,いわしの頭をつけて,のき下などにさしておくのを見たことあるかな。」
「私,見たことあるわ。でも,何でそんなことをするのかしら。」
「知ってるよ。ばあちゃんに聞いたんだけど,オニがヒイラギのとげとげやなまぐさい魚のにおいをいやがっておうちの中に入ってこないというならわしなんだよね。モンタ博士。」
「よく知ってるね。そのとおりだよ。それじゃ,ついでに聞いちゃおうかな。ヒイラギという字は漢字で書くと,どう書くか知ってるかい。」
「うーん。うーん。分かりません。ギブアップです。」
「ヒイラギという字は,漢字で柊と書くんだよ。木へんに冬だね。」
「なるほど,寒くなって冬になってさく花だからですね。そうか,木へんに春と書けば椿ですね。」
「オオムラサキというチョウの食草のエノキは木へんに夏と書いて,榎なんだ。」
「木へんに秋は何て言うんだろう。そんな字あったかな。」
「楸・・・これはヒサギという木だよ。それから,草かんむりに秋で,萩という字があるよ。ハギは木なんだけど,木みたいに大きくならないから,草かんむりなのかもしれないね。」
「モンタ博士。他に木へんのつく漢字で何かないかな。」
「ヒノキという字は漢字で桧なんだ。木をすりあわせて火をおこしたといわれているよ。それから,神様にそなえる木は榊だろ。南の地方にある木だから,楠だろ。甘い木だから柑(蜜柑)なのさ。堅い木だから樫だろ。それに,もっと堅くて石みたいなのが柘だよ。いろいろ調べてみるとおもしろいと思うよ。」
「まだまだありそうだわ。オー君。いっしょに探してみましょう。」
「そうだ。探してみよう。」
ヒイラギのつぶやき
私はヒイラギです。香りがとてもいい白い花を咲かせるの。この花はどことなく控えめでしょう。それが私の魅力かもしれないわ。私はモクセイ科モクセイ属(Osmanthus属)で,キンモクセイとは姉妹のようなものなの。花は4枚のように分かれているようだけど,本当は下の方でくっついているの。詳しく言うと,被子植物・双子葉植物・合弁花類。雌雄異株といって,雄の木と雌の木があるのよ。実の色は黒いのよ。クリスマスのときに飾りに使うのは,セイヨウヒイラギとかアメリカヒイラギというものなの。だって,私は実が黒いでしょう。だから飾りには使えないそうよ。ちょっと残念だわ。